梅雨入り間もない先日、土佐町宮古野にて伝統行事「虫送り」が行われた。

虫送り①

ホラ貝を合図に太鼓や鐘の音が鳴り、大きな草履を抱えて「サイトコベットコ サイノボリ 稲の虫は西に行け」の掛け声賑やかに田んぼの畦道を歩く。

以前は全国各地で行われていた恒例行事。近年その数は減少の一途をたどり、大変希少なものとなっている。

虫送り③

ここ宮古野では毎年6月20日『塚の日』に行われ、稲の虫除けと豊作を祈願するため、地域の方や地元の子どもなどが列をなし白髪神社までの道のりを練り歩く。

虫送り⑥

この際の掛け声はその昔「斉藤別当実盛」という武将が戦の際、稲株に足を取られ討ち死にし、その怨念が虫となり凶作をもたらしたことに由来し、その供養と豊作祈願のためこの虫送りが始まったとされ、宮古野でもこの掛け声を言う。

虫送り④

賑やかな行列は、神社を参拝してその年の豊作を願い締めくくられる。

行事には県外客の姿もあり、カメラ片手に撮影に来る方も多く、シャッターチャンスを狙い沿道には大勢の人が待ち構える。

虫送り⑤

参拝後は地元の方による手厚い接待があり、地元の方を含め皆で席を囲んで会食する。終盤にはこの行事の名物「チョンガリ節」も披露され、さらに会場は賑やかに。和やかな雰囲気に包まれた宮古野の虫送りはいつまでも笑い声が絶えず、熱の冷めないその様子は古き良きもてなしの文化とどこか懐かしい田舎の姿を残してゆく。